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RECASがエネルギー政策と人材育成の講演イベントを開催―ゲストにU字工事ら

 129日、茨城大学原子科学研究教育センター(RECASと日本原子力発電株式会社の共催により、日本のエネルギー政策と人材育成について考える講演イベントが、新浪体育講堂で開かれました。スペシャルゲストに漫才コンビのU字工事の二人を迎え、和やかな雰囲気の中、理学部?大学院理工学研究科の学生など300人以上が講演に耳を傾けました。講演後は原子力関連企業が参加する就職説明会も行われました。

 講演に先立ち、ステージには太田寛行学長が登場。「どうして茨城大学でエネルギー政策の話をするのか。みなさんは唐突に思うかもしれません」という言葉で挨拶を始めた太田学長は、茨城大学開学当時の涸沼での調査に始まった、茨城大学における環境科学の研究?教育の系譜を紹介。東海村を拠点に昨年4月に立ち上がったRECASが、地球?地域環境共創機構(GLECカーボンリサイクルエネルギー研究センター(CRERC、今年4月開設予定のグリーンバイオテクノロジー研究センター(Gtech)とともに、「総合気候変動科学」の創出という茨城大学の新たなミッションを実現する重要な柱であることを説明し、「今日ここに集まったみなさんは、大学の教育?研究の第2フェーズのスタート地点に立っているのです」と力強く語りかけました。

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 茨城県東海村は日本で最初の原子力発電の火が灯った地です。その東海村の原子力発電所を運営しているのが、イベントを共催する日本原子力発電株式会社(げんでん)です。第1部ではげんでんの阿部歩氏が、同社の成り立ちや原子力関連の仕事について紹介しました。

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 「当社は原子力発電所を動かしつつ技術開発を進め、様々な業界にその技術をフィードバックしてきました」と語る阿部氏。しかしながら、2011年の福島第一原子力発電所の事故以降、東海第二発電所は稼働をストップしています。福島第一原発事故を受けた安全向上策について、阿部氏は、発電所を囲う防波堤や、海側に立てた標高20mの高さに及ぶ壁、外部からの救援がなくても1週間は原子炉を冷やすことができる1万トン分の水源などの対策を説明しました。

 第2部はスペシャルゲストのU字工事による漫才。二人は石炭などエネルギーに関わる謎かけなど楽しいかけあいを披露した他、客席の学生たちとの双方向のやりとりも大いに賑わい、会場の雰囲気があたたまりました。

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 第3部のトークセッションでは、資源エネルギー庁原子力立地政策室長の前田博貴氏が、U字工事のお二人との対談形式で、日本のエネルギー政策の現状と課題について語りました。
 前田氏は、「日本のエネルギー自給率が約15%であり、85%は海外に頼っている」と現状を紹介。戦争などの国際事情によって供給が減ったり価格が上がったりすることが、日本での生活に深刻な影響を与えかねないという状況を説明しました。
 加えて日本は、2050年までのカーボンニュートラル実現という目標を掲げており、火力発電への依存度をぐっと減らしていく必要があるものの、福島第一原発の事故以来、多くの原子力発電所の稼働がストップしています。前田氏が「省エネと非化石燃料への転換を進めるしかない。省エネについては日本は高い技術を持っている」と述べると、U字工事の益子さんは「そういう事実がまだまだ知られていない。教育などを通じてもっと知ってもらわないと」と応じました。

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 また前田氏は、「福島第一原子力発電所の事故を受けて多くの人たちが原発に不安を抱いているが、それを受けた日本の原発の安全基準は、世界で一番厳しいだと規制委員会も強調している」と説明。新たなタイプの原子炉が出てきていることも紹介した上で、「原子力人材は国の将来を支える人材。夢をもって飛び込んでくれると本当にありがたい」と呼びかけました。

 最後の質疑応答のパートでは、エネルギー関係の企業への就職が決まったという大学院理工学研究科の学生から、日本とフランスの原子力技術の違いについて質問が挙がるなど、原子力政策のあり方を学生たちが自分ごととして捉える機会となったことがうかがえました。

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 講演イベントの後には、講堂の通路に並んだ、げんでんや原子力関連の企業等の各ブースにおいて、来場した学生に向けた就職説明会も行われました。RECASでは原子力関連の就職者を増やす目標を掲げており、こうした取組みは今後も積極的に行われる見通しです。