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卒業生とさらに連携協力する大学をめざして

茨城大学 学長
太田 寛行

 国立大学法人は、大きな転換期を迎えています。令和4年4月から始まる6年間の第4期中期目標期間では、文部科学省と大学という一対一の関係から、大学が様々なステークホルダーと連携することが求められています。文部科学省が発出した文書(第4期中期目標期間における国立大学法人中期目標大綱、R3.12.1)では、「全ての都道府県に設置されている国立大学には、社会の様々なステークホルダーとの相互関与、連携等により新しい価値を共創する経営体へと転換し、我が国、そして、各地域における中核として、また、国内外の様々な主体をつなぐネットワーク?ハブの基盤インフラとして、我が国の経済社会メカニズムを転換する駆動力としての役割が期待されており、従来担ってきた役割に留まらず、その機能を拡張していく新たな段階を迎えている」と記しています。この "連携等により新しい価値を共創する経営体への転換" は、本学のイバダイ?ビジョン203020213月公表)や、策定したばかりの第4期中期目標?計画のなかでも追究しようとしていることです。そこで、本学の重要なステークホルダーである卒業生にも働きかけて、一緒に取り組みたいことを以下に紹介します。

地域ステークホルダーとともに創る教育?教育改革推進体制の強化

 卒業生の皆さんが活躍している、茨城県や県内の自治体、産業界、教育界との定期的協議の場を設け、ステークホルダーからの意見を生かした教育改革を行います。また、社会的なニーズを踏まえて機動的に新たな教育の企画、教学マネジメントを実施できる全学的な体制を構築して運用します。進展するデジタル技術を活?した教育?法の改善も進めます。地域との教育連携では、持続可能な社会の形成に向かって、次に述べるような "新たな教育組織" の構築に重点をおきます。

分野横断型の教育組織の構築

 新たな教育組織の目的は、社会課題を主体的に解決する志向を有し、分野横断的な専門性と実践力をもって自ら行動を起こせる人材の育成です。教育内容の特色の1つは、企業や自治体等の現場で学生が複数学年で数ヶ月間就業する教育(コーオプ教育)です。学生たちはキャンパスと社会現場との間を往還して、大学で学んだ専門知識を生かし、社会人と一緒に課題解決に取り組みます。就業は無給のインターンシップではなく、協力先での短期雇用の仕組みを検討しています。このような教育の構築に当たっては、企業?自治体等との定期的な協議の場を活用し、様々な分野で活躍している卒業生にも協力いただきたく思っています。

地域課題?ニーズを踏まえた産学官連携の強化

 産業界や自治体行政が抱える地域課題の解決に向けて、大学の知や研究成果の積極的な社会還元を行い、地域の活性化をリードする大学を目指します。ここでも、自治体、産業界、金融界、市民等と課題を共有し、解決策を協議する場を構築して、解決に向けてニーズプル型の研究を組織的に推進していきます。そのような研究の組織化にあたっては、卒業生との連携?協力が大きな支えです。大学が地域社会のなかに溶け込み、研究成果の社会還元から、さらなる投資を呼び込む知と資金の好循環を生み出す核の一つになること目指しています。
 同窓会の皆さまとの連携?協力をさらに深めて、持続可能な社会づくりに貢献する茨城大学の存在感をさらに高めていきたく思っています。どうぞよろしくお願いいたします。